【広報戦略TIPSシリーズ_001】広報クリエイティブの視点から考えるイケテル広報戦略のアイデアと表現
今、企業広報の時代
「広告が効かなくなった」と言われて久しくなります。理由は何でしょう?
「ネットのせいだ」、「SNSのせいだ」、「人と時代が変わったからだ」・・・。すべて正解です。
では、広告が効かない今、企業は自社の製品やサービスをどう売り込めばいいのでしょうか?
その答は、「売り込まない」です。売り込むことなく、信頼と共感を得て、その結果として製品やサービスを選択して頂くこと、さらには企業そのもののファンになって頂くこと。マーケティング用語で「婚約」や「つながり」を意味する「エンゲージメント」という考え方に基づく関係性が、企業と生活者、また企業と企業の間の関係性を表わす時代となりました。
「婚約」した二人は、結婚の前に互いをより良く、またより正しく知ろうとします。そこには、基本的に嘘が介在してはなりません。企業のマーケティングの基本戦略が、従来の「広告」から「広報」へとシフトした今、企業には製品やサービス、また企業そのもののファクトを生活者にいかにより良く、またより正しく知って頂くかが求められています。
インパクトのある広報誌の表紙は強い
企業広報の中核に位置するツールは大きく分けて2つあります。1つはWebサイト、そしてもう1つが広報誌です。
特に広報誌は、情報による企業のファクトを伝えるだけでなく、企業の持つ考え方、目ざす方向性、製品やサービスの開発におけるストーリーやエピソード、また共有したい思いなどのエモーショナルな部分、つまり一言で言えば企業マインドを効果的なクリエイティブで表現し訴求することのできる非常に雄弁なツールです。
中でも表紙は、広報戦略における最も重要なクリエイティブの主戦場です。大胆なビジュアルや刺さるキャッチによって、言わば「一発で」読者のアテンションを引く広報誌の表紙は非常に強い訴求力とブランディング力を持っています。
カタイ企業イメージを逆手にとる最強最良のBtoB広告
とりわけ顧客が個人のコンシューマーや生活者ではない企業間取引の場合、広告は往々にして企業の信頼感やソリューションの優越性、あるいはコストパフォーマンスといったあたりを直接的に訴求するものになってしまいがちですが、広報誌というツールを使えば、もっと様々なアプローチが可能になります。
たとえば、機械や建設などの文字通りカタイイメージの企業の場合、一つのクリエイティブ手法として、製品のアップを照明やストロボなどを駆使してドラマチックに撮影した写真をメインビジュアルに採用し、そこに新製品の完成や初出荷をストーリー立てるキャッチフレーズを重ねることでカタイ企業イメージを逆手にとったハードロマンな世界を表現することができます。
さらに、表紙上に誌面内で展開される主要記事のタイトルを併載することで、企業活動の種々のファクトも同時に示せます。ビジュアルとコピーのカップリングが成功すれば、最良の広報クリエイティブの誕生です。
そうです。イケテル広報誌の表紙は、最強最良のBtoB広告として機能するのです。
※初出情報 本記事は2016年6月14日に「クリエイティブ経済誌 BTL (Business Timeline) 」に掲載されたものです。